欧州アートログ

ヨーロッパにおける企画展、ギャラリー、アートフェア等のログを淡々と書き記します。

Frieze Sculpture 2020 in Regent's Park [Log33]

記事の更新間隔が再び1か月を超えてしまいました。この間、ロンドンは夏から秋を通り越して冬の雰囲気に。そして、コロナ感染再拡大を受け、今週末から再び行動制限が強化されます。

それに先立ち、ロンドン・リージェンツパークでアートフェアFriezeに合わせて開催されているFrieze Sculpture 2020を鑑賞してきました。その模様を淡々と書き記します。

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Frieze Sculptureとは?

Friezeは、NYやロンドンで毎年開催されていた最も重要なアートフェアの一つです。

今年はコロナ禍のため、5月のFrieze NYがオンライン開催となり、本ブログでもその模様を記事にしました。秋になってもコロナ禍は治まるどころか、欧州では再び感染が急増している有様で、今月頭にロンドン・リージェンツパーク開催予定されていたFrieze London(主に現代アートを取り扱う)及びFrieze Masters(主にオールドマスター等を取り扱う)も、同様にそれぞれオンライン開催となりました。

今秋のフリーズ・ロンドン一連のプログラムについては、美術手帖さんの記事をご覧ください。

 

そんな中、唯一物理開催されている(10月5日~18日)イベントが、Frieze Scuplture 2020です。例年フェア開催時期に合わせて同公園内に大型作品が展示されるもので、フェアが招待やチケット購入が求められるのとは対照的に、とてもオープンな環境で作品を楽しめます。

実地鑑賞のログをお届けすべく、オンラインフェアではなく本イベントを全作品写真とともに記事に致します。

 

どんな作品があった?

本記事は、なるべく余計な弁を弄さず、写真と物理的にどんな作品であったかを簡潔に記していこと思います。

各作品についての解説は、下記リンク先で公式が行っております。このページのおかげで、作品を見て咀嚼した上で、このオーディオガイドを聞くことで理解を深めるという楽しみ方が出来ました。

 

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Arne Quinze "Lupine Tower" 2020

全高8メートル超に及ぶ大作。日本の「もののあわれ」の精神を表現しているとのこと。

 

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Richard Long "Circle for Sally" 2016

花崗岩を円形に配置した作品。円の中心から円周へ向けて灰色の石が十字に配置されている。

 

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Fabio Lattanzi Antinori "Ad Keywords" 2020

会場周辺で検索されているワードと、当該ワードのグーグルアド単価とが、数秒ごとに変化。

 

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Gianpietro Carlesso "Torre di Saba" 2009

レバノン杉を、丁寧に手彫りした作品。全高2.7メートル。

 

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Kaliopl Lemos "The Plait" 2020

このサイズでこの環境のためヤシなど別物と見まがうが、屹立する三つ編みの切断先端部分。

 

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Lubaina Himid "Five Conversations" 2019

ジョージアン様式の住宅のドアに描かれた5人の女性。互いに会話している雰囲気。

 

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David Altmejd "Untiteled 1 (Bronze Bodybuilters)" 2015

普通の彫刻に見せかけ、石膏が鮮明な手指の跡でえぐられている。それは土台にも及ぶ。

 

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Patrick Goddard "Humans-Animals-Monsters" 2020

犬、鶏、猿、鮫等の首が24個転がっている。切断面に骨董の鏡が貼られ、鑑賞者も一部となる。

 

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Pebecco Warren "Aurelius" 2017-2019

全高3メートル。正直にいうと、この作品が一番難解で、どう描写したらよいのか…。

 

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Eric Fischi "Torso" 2010

彫刻らしい彫刻。老女のトルソ。局部が結構リアルだったので、念のため絶妙に隠れた写真を。

 

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Sarah Lucas "Sandwich" 2020

タイトルの通り食パン2枚。間の具材は不明。唯一、乗っても良い作品。

 

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Gavin Turk "L'Age d'Or (Green & Red)" 2019

川崎市に似たものがあるが、それよりも大きい。作品名は仏語に見せて、発音するとLarge door。

 

感想は?

雨の多いこの時期、晴れ間を狙って楽しんできました。

自然の中に配置されるという特徴から、人間と自然との関係ということを意識したと感じる作品がある一方(これはコロナ禍の所為で鑑賞者の側が意識しすぎているのかもしれません)、諧謔的な作品もあり、とても興味深く鑑賞できました。

 

掲載した写真は作品自体の全景やスケール感を捉えるようにしているため、閑散としている印象かもしれませんが、実際は下の写真の様に多くの人で賑わっていました。

公共空間でこういった催しがあると、お祭りみたいで楽しいものですね。ではまた。

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