欧州アートログ

ヨーロッパにおける企画展、ギャラリー、アートフェア等のログを淡々と書き記します。

英国政府、アート・デザイン教育への支出を50%削減へ [Log 43]

英国政府は、大学教育におけるアート・デザインコースへの支出を半減し、該当分をSTEM教育分野へ回すことを決定しました。

確かにSTEM(Science, Technology, Engineering, Mathematics)教育は大変重要で、モノつくり国家にとっては根幹となる教育です。情報産業の発展にも不可欠でしょう。

他方で、英国は20世紀半ばにモノつくりから金融やデザインにシフトし、メシのタネとしてきた印象です。英国に、経済や金融、アートやデザインを学びに行く者は多くとも、モノつくりとなると別の国に行くのでは?と思います。せっかく相対的な強味であるアート・デザイン教育への力を抜くとは。。。

 

ちなみに、日本は先月閣議決定された「骨太の方針」を含めて、平成後期からSTEM教育とは異なる言葉を使っています。それは「STEAM教育」(p.16)。A=Artsは所謂人文系科目で「芸術、文化、生活、経済、法律、政治、倫理等を含む広い範囲」だそうです。

 

ところで、英国の削減案の効果は、年間約2千万ポンド(ざっくり約30億円)だそうです。その一方で、「偉大なる英国」のイメージが大好きな現政権は、2億5千万ポンド(ざっくり約380億円)で「ロイヤルヨット」の建造を計画しています。

用途は「浮かぶ大使館」。船上で、投資フェアや外交をするそうです。

国費支出の優先順位として、どうなのでしょうかね。

 

ではまた。