欧州アートログ

ヨーロッパにおける企画展、ギャラリー、アートフェア等のログを淡々と書き記します。

ラシッド・ジョンソン: Waves @ ロンドン・Hauser & Wirth [Log38]

Hauser & Wirthで開催されていた「Rashid Johnson: Waves」に行ってきました。その模様を淡々と書き記します。

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ラシッド・ジョンソンさんについて

ラシッド・ジョンソンさん(1977~)は、イリノイ州産まれの米国人アーティストです。彫刻、絵画、映像作品等マルチメディアに作品を制作する彼は、同州シカゴを初期の活動の中心としていました。

アフリカ系米国人である彼は、欧米中心主義のカウンターであるアフロ・セントリズムの影響がある家庭で育ち、大衆文化の世界でもヒップホップ等が注目されていく中で成長しました。(こういう表現の適切性は是非があろうかと思いますが)苦難の黒人社会を表現する従来のアフリカ系米国人アーティストの系譜とは少し違った、(彼についてのwikipediaの表現を使えば)ポスト・ブラックアートを制作しているアーティストです。

 

どんな作品があった?

写真のように、主に陶器のモザイクで表現された2D作品が展示されていました。ギャラリーのウェブサイトから、展示されていた全作品をご覧いただけます。

 

今年制作されたこれらの作品に通底するテーマは「不安」。

アートレビュー12月号が発表したばかりの今年のPower100の第一位はBLMで、世界的な最大の関心事は言うまでもなくコロナ禍ですが、これらの世情を反映した作品群であったと思います。

 

感想は?

ギャラリーの解説等によると「不安」が作品の底流にあるとのことですが、私が作品と対面した時に受けた感覚は、色合いのせいか不安だけでなく、そんな中でも輝く生命力のようなものが散見されました。

私の目は節穴なので、ラシッドさんに聞かれたら一笑されるかもしれませんが。

 

これは、英国でBAME(Black, asian and minority ethnic)とカテゴライズされる自分の立ち位置が色眼鏡となったのかもしれません。

 

又は、訪問数日後感染力の強いコロナウイルスの突然変異種が発見され、ロックダウンだけでなく世界各国から人流・物流にストップがかかり、クリスマスを前にして食糧不足が懸念される英国でなんとか楽しもうと思う私の願望が入っていたのかもしれません。

これについて、世代がバレますが、ドーバー海峡横断が日本でバラエティのネタになっていた時代は、とても平和だったなと思い返しております。年末に、完全なBrexitが予定されていますが、結果的に予定を10日早める欧州大陸からの「離脱」となってしまいました。

 

年内、もう一回は更新の予定です。

くれぐれも、引き続きご自愛頂き、穏やかな歳末をお過ごしください。

ではまた。