新型コロナ:米国のギャラリー収入 約7割減 [Log22]
ギャラリーへのコロナ禍の影響について、米国より新たな調査結果です。その概要を淡々と書き記します。
記事のポイント
- 米国ギャラリー第二四半期収入が73%減
- 正社員の15%、非正規雇用者の74%が職を失う
- 従前の調査結果と方向性一致。業界は厳しい
調査について
本調査は、The Art Dealers Association of America (ADAA)により実施されたものです。4月15日から5月4日の間、米国のリーディングギャラリーを対象に実施されました。
有効回答数は168。約半数は東海岸から、約35%は西海岸からの回答です。
そのうち、64%がプライマリーマーケット、11%がセカンダリ、25%がそれらのハイブリッドのビジネスを行っているとのこと。私の想像より、プライマリーが大きいです。
結果は、5月19日(米国日時)に同協会よりプレスリリースされました。
結果概要
本年第二四半期(4月以降)において、73%の収入源を見込んでいることが分かりました。また、既に第一四半期(1~3月)において31%の収入源が発生しているとのこと。
雇用面では、85%の正規社員は雇用が継続している(裏を返せば15%も失業したということです)一方、74%の契約社員が職を失ったとのことです。雇用流動性が高い米国とは言え、これは厳しい。
不動産関係では、回答者の約8割がスペースを賃貸借しているものの、大家から家賃支払い猶予等の便宜を得た者はそのうち約半分。所有物件がありローンを組んでいる者のうち、銀行等貸主からの便宜を得た者は14%程度だそうです。
アートフェア対応として、28%は本年中の参加はない、47%は少なくとも一つ参加する、25%は態度未定とのことです。この割合だけでは分かりにくいですが、激減です。
[2020年5月22日追記]
本記事公開後、美術手帖もこの調査結果を取り上げました。
なお、美術手帖では契約社員の74%は休業とされています。しかし、 原文は「 no longer employed」なので、職を失ったという本ブログの表現が妥当かと思います。
感想
本ブログでは、仏国業界団体が実施した調査結果を4月半ばに、The Art Newpaperとマーストリヒト大学が共同実施した調査結果を4月末に、それぞれ取り上げました。
今般の米国業界団体の調査結果も、概ねこれらと一致するものとなっています。少なくとも欧米各国のギャラリーが7割程度の収入源に苦しんでいることは明白なようです。また、業界構造的に中小ギャラリーが多い中、事業・雇用継続に深刻な危機が生じているようです。
ではまた。