欧州アートログ

ヨーロッパにおける企画展、ギャラリー、アートフェア等のログを淡々と書き記します。

新型コロナ:世界のギャラリー収入 約7割減 [Log18]

先日ご紹介した新型コロナウイルスの影響調査について、結果が報じられました。その概要を淡々と書き記します。

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記事のポイント

  •  世界中のギャラリーで約70%の年間収入減見込み
  •  約1/3は危機を乗り越えられないと回答
  •  小規模ビジネスに大打撃

 

調査について

本調査は、先日下記記事でご紹介させて頂いたものです。 

The Art Newpaperとマーストリヒト大学とが協働で行ったオンライン調査で、今回公表された結果は、4月10日から20日の間に寄せられた236の回答によるものです。

 

結果概要

先日同紙記事で結果が発表され、世界中のギャラリーはコロナ禍により平均で年72%の収入減を見込んでいることがわかりました。

地域別では、英国が最も悲観的で79%、アジアが77%、北米が71%、その他欧州が66%となっています。欧州内での格差は、調査の後半に、大陸の一部の国においてロックダウン解除の見込みが示され、美術館も次第に再開へと動き出した*1ことが影響しているのかもしれません。

また、約34%のギャラリーが生き残りに悲観的でした。ギャラリーの大きさによる有意な差は見受けられないと思いますが、10名以上を雇用している大きなギャラリーの方がやや楽観的のようです。

当然、大半のギャラリー(82%)が売上減を懸念し、56%が手元流動資金を強く懸念しています。他方、売上減を懸念しなかった18%、15%の流動性懸念がないとの回答、これらの正体は分かりませんが、ニュアンス的には大手の可能性が高いです.…。苦戦している者の耐えられる期間は約2か月とのこと。この相場観は、他のセクターの多くと同じですね。

小規模、新規事業者等は、政府の支援策が行き届かない懸念が記事で詳述されています。取り扱うものの特性上売上の波が大きく、規模が小さくなればなるほど平準化による危機対応が図りがたい。特に個人経営に近い形だと、給与という形態ではなくなり前年比や直近月比給与減を要件とする支援策の射程からも外れやすくなっています。

 

感想

先日の仏国における調査と概ね軌を一にする結果となりました。

記事によると、ギャラリー支出のうちニューヨークでは40%、ロンドンでは35%が家賃とのこと。これまでの多くの産業は、そして景気刺激策は、不動産に依拠してきました。技術進展により可能となったロックダウンという対処を経たポスト・コロナにおいて、少し変革が求められるような気がします。

 

なお、書くことないな~と思って日々過ごしていたら、すっかり間が空いてしまいました。これまで約3日に1投稿のペースを保っていたのですが、中身のない記事を書いても仕方ないので、今後暫くは適宜更新という形で続けて行ければと思っています。

ではまた。

 

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*1:正確には、20日時点でこの点は予見されていませんでしたが、ここに至る温度の変化はあったと思われます。