オラファー・エリアソン×長谷川祐子対談 私たちが/アートができること [Log19]
Youtube上にアップされているオラファー・エリアソンさんと長谷川祐子さんとの対談を視聴しました。その模様を淡々と書き記します。時間のあるGW中に必聴です。
記事のポイント
- 現代アートの巨匠と日本を代表するキュレーターとの秀逸な対談
- コロナの機会を使って、なりたい姿を取り戻すために
- 優れた展示の裏側を垣間見るという点でも貴重な機会
オラファー・エリアソンさんについて
エリアソンさん(1967~)は、地球と人間との関係、環境問題等について鋭く感覚を刺激する作品を作成する現代を代表するアーティストです。
デンマーク・コペンハーゲンに生まれ、デンマーク王立美術アカデミーで学んだ後、95年に渡独し、スタジオ・オラファー・エリアソンを設立しました。なお、こちらのスタジオのゴハンについては、ベジタリアン料理本が出ています。
作品としては、例えば2002年にテート・モダンに巨大な太陽を再現したWeather Projectが有名です。私にとって最初のエリアソンさんの展示は、それから10年後のLittele Sun(2012)でした。こちらは、太陽光パネルの付いた小さなランプをトリガーに気づきをもたらす内容。とても印象的でした。
NYのイーストリバーに巨大な滝を出現させたWaterfalls(2008)も、気候変動会議等に合わせたIce Watch(2014、15、18)も伝説的なパブリックアートとなっています。
長谷川祐子さんについて
長谷川祐子さん(1957~)は、世界で活躍される日本を代表するキュレーター。現在、東京現代美術参事。
兵庫県生まれ。京大法学部を卒業された後、東京芸大に入りなおされています。その後は、大活躍につぐ大活躍のキュレーターである長谷川さん。触れておくべきは、今や日本を代表する現代美術館の一つである金沢21世紀美術館を作り上げたご功績かと思います。もちろん初代館長の蓑豊さんのお力も大きかったと思いますが、当時の金沢市長へのインタビューを見るに、明らかに長谷川さんのキュレーションが成功要因であったと思われます。
そんな彼女は、世界のアートの巨頭100人として、2018年のArtReview Power100に77位でランクインしています(それ以前も度々ランクイン)。なお、他の日本人からのランクインは草間彌生さんのみです。
こうやって見ると冒頭の私の表現は間違いですね。日本ではなく、世界を代表するキュレーターです。
どんな対談だった?
3月14日より東京現代美術館で開催され、現在閉じてしまっている「オラファー・エリアソン ときに川は橋となる」。彼は、本展覧会を初めてサスティナビリティを正面から取り上げたと言っているようです。観たい。
その展覧会のつながりから、現下の状況を踏まえて実施された対談のようです。内容の一部を切り取ると、下記のようななものとなります。
- 時間がリニアに進むとき、人間はどうすべきか
- 文化と自然が切り離されていることへの疑問
- 不確実性への許容的態度
- フロントライン・ワークの重要性
- How?に答えるのは政治、Why?を問うアート
詳しくはYoutubeをご覧いただくか、下記美術手帖の要旨をご覧ください。過去の展示等の映像もあるので、Youtube視聴がおススメであることを申し添えます。
感想は?
例えばロンドンにおけるExtinction Rebellionの活動、グレタさんの言動、そして現下のコロナと、望むと望まざるとに関わらず、人間と自然との関係を見直すきっかけが多くなっていると思います。
当該論点について注目されているアーティストとキュレーターとの本対談は、その内容の深さとともに、二人がどう展覧会を作り上げてきたのかという経緯、しかも長い付き合いに基づく経緯を垣間見ることが出来、とてもとても興味深い内容でした。
対談最後の若者への言葉は、とても含蓄があります。
ではまた。