新型コロナ:仏国ギャラリーの1/3が廃業!? [Log14]
ギャラリーへの新型コロナウイルスの影響について、新たなニュースです。その概要を淡々と書き記します。
記事のポイント
- 年末までに仏国ギャラリーの1/3が廃業との調査結果
- 回復までに5年かかる?いや、短期回復?
- アート界変革への契機となるか。
仏国ギャラリーへの影響の概要
先日、下記記事で新型コロナに対するメガギャラリーの対応について概観しました。
本投稿は、主に中小ギャラリーへの影響のお話です。場所は、フランス。
昨日付The Art Newspaperに掲載された記事において、 本年末までに同国内のギャラリーのうち1/3が廃業に追い込まれる危険ありとの業界調査結果が報じられています。3月から6月間の売上減や展示・出展投資損は、総計で1億8400万ユーロ(約220億円)とのこと。
調査対象のうち、年商300万ユーロ(約36億円)を超えるギャラリーは1/10に過ぎず、2/3のギャラリーは従業員2名以下であるとされています。つまり、廃業予備軍のメインは中小のギャラリーだということです。
また、対象のうち過半のギャラリーが2000年以降の開業しているとのこと。現代アート等最近のアートマーケットへの対応が比較的遅れているとされるフランスのギャラリーですが、こうやってみると、それでも新陳代謝が起きていることが分かります。
今後の展望は?
同記事では、調査を行った業界団体のトップが、1990年のアートマーケットの崩壊*1の時は回復までに5年かかったし、その間に46%のギャラリーは消え去ったとコメントしています。
また、記事は仏国政府から示されたギャラリー、アートセンター及びアーティスト向け支援額が「たった」200万ユーロ(約24億円)だともし、同トップのコメントとしてドイツやアジアの国より支援が少ないとしています。
一方で、1990年は、今やフランスを代表するギャラリーの一つであるペロタンが開業した年でもあります*2。また、The Art Marketのデータよるとリーマンショック後の2010~11年のアートマーケットは短期V字回復を果たしています。
新型コロナの影響が苛烈で業界として苦心していることは、そのとおりだと思われます。他方で、むしろ他業界と同様に変革のチャンスでもあるとも考えられます。
この点、メガではありますが、PACEの社長さんが新型コロナ罹患発表のコメントとして、アート界変革の必要性を強く訴えています(詳細は下記記事を参照ください)。
変革や新陳代謝のためには廃業で困る人が出ても良いなどとはとても言えませんが、それでも、この苦しみの末に何か新しい動きが出てくると良いなとは思います。
ではまた。