「ピカソと紙」展 @ロンドン・RA / Picasso and Paper [Log5]
ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツで開催されている「Picasso and Paper」展に行ってきました。その模様を淡々と書き記します。
記事のポイント
- ピカソは紙をどう表現手段として使ったか
- 切り絵特集ではなく、中身も充実
- 月並み感想だが、やはり天才
展示の主眼は?
画用紙等の画材に限らず、封筒、段ポール紙、新聞等といったありふれたものを含めた色々な紙をピカソはどう創作に使ったのか、これが主眼の展示です。絵画にとどまらず、習作、落書き的なもの、切り絵、コラージュ等、紙を表現手段として使った幅広い作品(おそらくピカソ本人は作品だとは認識していなかったと思われるものも含めて)が展示されていました。なお、その多くは、パリのピカソ美術館からお越しでした。
展示内容は?
青の時代から始まり、「アヴィニョンの娘たち」の習作たちの展示室へと続きました。このうち一枚の水彩の色やキュビ具合がとても印象的でした(上記にリンクさせた本展示のWebpageの中ほどに借り物リストがあり、本作はそのp.369)。
印象的だったのが、バレエ「Parade」。ジャン・コクトー脚本、エリック・サティ音楽、パブロ・ピカソ舞台芸術・衣装という恐ろしいメンバーで作られ、初演が1917年5月。つい半年前までソンムで激しい塹壕戦やっていた第一次世界大戦中に、なにやっているの!?と。同衣装の一部がボール紙で作られていたということで、このバレエの様子も展示に含まれていました(一部衣装デザイン 同p.90。合法的撮影か不明なのでリンクは貼りませんがYoutubeにバレエ動画もあります)。
展示の後半には、マネの真似が展示されていました。マネ「草上の昼食」の絵葉書が送られてきたことに刺激を受けたらしく、ピカソはマネの真似を数点残したようです。その中には、比較的原型をとどめているもの(同p.99)も、うろ覚えで書いたでしょ?というもの(同p.85)もありました。
感想は?
ピカソはもちろん芸術の天才ですが、自分に限界を引かない天才だなというのが率直な感想です。色々な手段・事物を積極的に試す。その性格のせいで私生活はちゃめちゃのイメージもありますが、マドリッドのレイナ・ソフィアにある作品、昨年バーゼルで見た「青・バラ色の時代」展やキュビズム展でも、挑戦するピカソの姿が印象的でした。
噛めば噛むほど味がある。そんな彼だからこそ、「紙」という一見「画家なんだから当たり前でしょ?」という表現媒体に着目した展覧会が開催できるのではないかと思いました。
ではまた。